Back to Home

弱点を見せる効果


Download PDF

なかなか自分の主張を聞き入れてくれない相手に対してみなさんはどうアプローチするだろうか。

ある人は理論武装で、ある人は過去の自分の経験や実績を誇示して相手を説得にかかるだろう。

 

心理学者のケイティ・リルジェンクィストは、人に話を聞いてほしい時は逆に質問をすると良いという。人は誰しも「教えたがり」であり、質問されたことに気を良くしてこちらに対して好意的に接してくれるようになるらしい。

 

アドバイスシーキングと呼ばれている。

 

その背景には、弱点を見せられると自分が優位に立ったような気になり、「その人に貸しを作りたい」とか「助けてあげたい」等と思いやすくなる心理が働いている。

 

誰かに教えを乞う行為は、ある種「私はあなたより知識がありません。教えて下さい。」と弱みを見せる行為と言える。そしてアドバイスした側も、自分のしたアドバイスが間違えではなかったと正当化したいがために、積極的に支持してくれるようになる。これは「立場固定」の考え方を逆手に取ったものと言える。誰しも、自分が最初に下した決断が間違いではなかったと自分に言い聞かせたいのだ。

 

優れた営業マンは押し売りをしない。その理由は強く押すよりも質問をした方が相手が心を開いてくれるため、お互いの目指す合意点に近づきやすいためだ。価格合意に至るためにはどうしたらよいか、と客にアドバイスを求めると、自分の合意したい金額に固執するよりも結果的にその金額に近いところで合意できてしまうものなのだ。

 

この考え方ができると、自分の弱点をさらけ出すことに抵抗がなくなり、ありとあらゆる交渉がしやすくなる。

 

弱点こそがストロングポイントになりうるのである。

 

Leave a Reply