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間接的に作用するということ


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私が月一で参加している勉強会で以前テーマになったのが、「間接的効果」だ。

最初に聞いたときは私も全然ピンとこなかったのだが、以下の3つのパターンに分けて考えるとわかりやすい。

  1. 知らず知らずのうちに自分を形成する基になっている環境、経験(他→自)
  2. 他人の行動に影響を与える自分の言動(自→他)
  3. 自分の思考の基になっている知識や哲学(自→自)

 

まず1つめ(他→自)について、これは端的に言うと家庭環境や教育によるインプットを指す。例えば小中学校時代のの担任の先生の発言によって無意識に影響を受けているケースだ。親が心配性のため子どもの頃からあまり思い切った行動に出ることができず、それが現在の慎重な性格を構築している場合もこれに該当する。勉強会に参加していたメンバーにも親の影響を強く受けている人がいた。

 

次に「自→他」のパターンだが、これは特定が非常に難しい。なぜなら、フィードバックが自分に返って来るケースとそうでないケースがあるためだ。ただこのパターンを意識して発言するようになると周りへの影響の仕方が全然変わって来るので、少し強調して書いておきたい。

自分の講演会での発言が参加者の思考に影響を及ぼしている場合がこれに当たる。例えば、私が「アフリカと一口に言っても様々なので、実際現場に行ってみないとわかりませんよ」と言ったとする。それを聞いた誰かがアフリカに行ってみようと思い立ち、実際に行く。そしてその人が帰国後に講演を開き、「アフリカとは〇〇である」と発言する。そしてそれを聞いた聴衆の中からアフリカに興味を持つ人が現れる、ということが起こる。これは典型的な間接的効果だ。

実際に、私がアフリカに興味を持ったきっかけは、協力隊の説明会でアフリカOBの方が「アフリカではね、人生の優先順位の1位は仕事じゃないんですよ」と発言したためだ。当時の私はシステムエンジニアをしていて、仕事以外のことはほとんど考える余裕がなかった。しかしこれを聞いてアフリカに行ってみたいと思うようになり、実際に青年海外協力隊員としてアフリカに行った。そして今は他の人にアフリカの話をしている。

これは私が間接的効果を受ける側の事例だが、自分が影響を与える側に回ることも多いと思う。講演会後の質問タイムで自分がした質問が他者の今後に影響するケースもあるだろうし、自分の書いたブログが影響を与えることもあるだろう。

「この場でこういう発言をするとこういう影響があるな」と意識しながら発言することで、発言の質の向上にも繋がることがあると思う。

 

最後に「自→自」のパターンだが、これはメンタルモデルと呼ばれている考え方だ。1つ目の「他→自」のパターンにも被ってくるところがある。メンタルモデルは個人の行動を決定する上で無意識的に影響してくる思考や考え方のことで、例えば、アフリカビジネスでアフリカ人に騙された経験のある人は自然と「アフリカ人は信用できない」という考え方を持ち、東京で生まれ育った人は自然と「電車は混むものだ」という考えになる。ある人は読んだ本の影響を受けやすく、常にその時に読んでいる本に近い思考法かもしれない。これは個人だけでなく組織にも当てはまり、この会社は「環境配慮と営利なら後者を優先するメンタルモデルだ」などと言ったりもする。

もちろんビジネスだけでなく個人の選択にも影響を及ぼすので、自分のメンタルモデル、例えば「私は3つの価格帯なら真ん中を選びがち」、「ドラムから始まる曲を作りがち」などを分かっておくと、選択に迷った時の参考になると思う。

 

以上3つが我々の思う間接的効果だが、特に2つ目(自→他)と3つ目(自→自)を意識できるようになると、行動や決断の幅が広がるし、より正しい選択にたどり着くことも多くなると思う。

 

 

 

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