【キーワード】
- 250以上の民族が存在
- 大きく分けて5つの文化圏
- キリスト教とイスラム教の2大宗教
- 言語も多様
- 民族紛争なし
カメルーンの民族
カメルーンには、総勢約250もの民族が暮らしています。国民の多くが大和民族という日本に住んでいる私たちからすると、想像もつきませんが、そういう国もあるのです。
カメルーンの情報が多く載っている海外サイト(http://www.editions2015.com/cameroun/ethnies)
から拝借した分布図を見てみましょう。
各色が一つの民族系統を表しています。これだけでもかなりの数があることがお分かりいただけるかと思いますが、さらにその中に細かい民族が存在しています。
日本で言うと、「九州人」という括りの中に「大分人」や「福岡人」がいるようなイメージです。
そして、言語も多様です。例えば南部の民族が西部の民族が話しているのを聞いても、理解するのは難しいらしいです。そのために共通言語としてフランス語と英語があります。
カメルーンの主要民族と分布地域
カメルーンの人口の内訳は、大きく分けて以下の4民族で、全体の約70%を占めています。
- バミレケ族 、バムン族: 西部
- ファン族、ベティ族 : 南部
- ドゥアラ族、バサ族 : 沿岸部
- プル族 : 北部
次はカメルーンの文化について見ていきます。
カメルーンの5文化圏
カメルーンの文化圏は大きく分けて以下の5つで、それぞれが独特の文化を持っています。
- バミレケ文化圏 : 西部
- ドゥアラ文化圏 : 沿岸部
- 熱帯雨林文化圏・バカ族文化圏 : 南部
- 北部文化圏 : 北部半乾燥地帯
- キルディ文化圏 : 北部砂漠地帯
北部にはテロの脅威が根強く残っているため、私が訪れたことのあるのは西部、沿岸部、南部のみです。これらの違いについて記載します。
まず、西部のバミレケ文化圏のキーワードは、「勤勉・実直・商売上手」です。
西部エリアは海がないので主に耕作の文化ですが地形は山、岩が多く、なかなか過酷です。土も南部と比べて乾燥しており、努力をしないと立派な作物を育てるのは難しいそうです。
しかし、今は安くいい野菜が買える、大プランテーション地帯となっています。
おそらく、その過酷な環境で生きていく必要性から、勤勉な民族性が生まれ、それがプランテーションの文化を育んだのでしょう。
日本が世界の経済大国に上り詰めた要因が「資源がなかったから」だという説もあります。
環境が過酷ということは、人的資源に頼らざるを得ません。そうすると自然に勤勉な人間に育つのでしょうか。
続いて沿岸部のドゥアラ文化圏について紹介します。
ドゥアラ文化圏は沿岸部というだけあって、釣り人の文化です。沿岸部に住む人々は、西部とは大きく異なり、魚やエビを獲って食べるという生活をしていたようです。
そのため、川に入る際に裾をまくりやすいよう、カバと呼ばれるゆったりとしたワンピースを好んで着ていました。
現在ではカバはパーティなどで多くの人が着る、国民的な衣装となっています。
ちなみに、「カメルーン」という国名は、ポルトガル語でエビを意味する「Camaroes」に由来します。
ポルトガル人がこのエリアを通った際にたくさんのエビがいるのを見てそう名付けたそうです。
最後に、南部の熱帯雨林文化圏について紹介します。
このエリアは狩猟採集の文化です。豊かな森林へと入り、木の実や動物を確保して食糧としていました。拾ったり狩ったりするだけの、比較的楽な文化だそうです。
海がないので釣りをしない理由は理解できますが、耕作すらもしない理由はなんでしょうか。ちなみにこの辺りの土は非常に豊かです。
このエリア出身のカメルーン人曰く、
「うちの民族怠惰だからね。狩ったり採ったりするだけで生活できるのにわざわざそんな手間かけんよ」とのことです。
私もこのエリアに住んでいますが、「おれたち怠惰だからね」というセリフをよく聞きます。自覚している辺り、さすがです。
※全て私と近隣住民(カメルーン人)による主観で記載していますので、学術的な情報としてではなく、あくまでエンターテインメントとしてお楽しみください。
カメルーンの宗教について
カメルーン人は、40%がキリスト教徒、30%がイスラム教徒、その他宗教(アニミズムなど)が30%と言われています。
ちなみに、多くはありませんが仏教徒もいます。
エリアごとに信仰が分かれているわけでもなく、偏りはありますがどの都市にもキリスト教徒とイスラム教徒が共存しているのが特徴です。
民族紛争・宗教対立について
上述の通り、カメルーンには多くの民族、宗教が存在しています。民族争いや宗教対立が起こってもおかしくありません。
しかし、不思議なことに紛争や対立は一切なく、平和をキープしています。その理由はなんでしょうか。
カメルーン人に聞いた情報からの推測ですが、私なりの仮説を立ててみました。
まず、圧倒的な力をもった民族がいないこと。250以上の民族がいるため、頂点に君臨する民族はおらず、多少の力関係はあるものの、上下はほとんどありません。
要は、一つの民族が束ねるには、民族の数が多過ぎるのです。
そしてもう1つが、あまり争いを好まない国民性だということ。私はカメルーン人全員を知っているわけではありませんが、カメルーン人曰く
カメルーン人は、「優しいかどうかは別にして、あまり争いや面倒なことが好きではない国民」
らしいです。団結してわざわざ他の宗教や民族を排除するようなことは面倒だ、だったら皆で仲良く暮らした方がよっぽど楽だ。という思考のようです。
カメルーン北部ではボコハラムによるテロが続いていますが、彼らはナイジェリアの組織であるため、「あいつらがカメルーンに戦争を持ってきた。」と怒っている人が多いです。