私は元SE(システムエンジニア)なのだが、今は全く関係ない仕事をしていながらも、システムエンジニアを経験していてよかったと思うことがたくさんある。
そのうちの一つがITリテラシーが自然に身についていることだ。エクセルを使っていかに短時間で作業できるか、パワーポイントを使わなくてもプレゼン資料が作れる、ローカルサーバーとクラウドのメリットとデメリットを理解している、などといったIT全般についての知識を指す。
ITエンジニアがこれらの知識を自然に体得している理由はいくつかある。エクセルでの作業効率化について見てみよう。
おそらく私の場合、パソコンが苦手な人が1時間かかる作業(表の整理や数式を用いた計算など)を10分前後で終えられる。前者はマウスとキーボードを持ち替えながら作業を行うことが多いが、私はほとんどマウスを触らずキーボードしか使わないためにその差が生じる。持ち替えの時間もかからず、ショートカットを多用してマウスの作業を代行するため時間が短縮できる。
私はITのエンジニアの中で特別作業が速い方ではない。並だと思う。
ITエンジニアの作業が速い理由は2つある。
まずは、ITエンジニアになるような人は元々ITリテラシーが高いためである。つまり、エンジニアになった時点で元々パソコンが得意だったパターンだ。
私はこのタイプではない。大学までの私はパソコンいじりは好きだったが、知識量でいうと至って普通だったと思う。
もう一つの理由は、システム開発はスケジュールがタイトなため自然と効率良く進める癖がついてしまうためである。私の場合はこちらに該当する。
IT企業に入社したときはalt+Tabすら知らず、画面を切り替える度にマウスに持ち替えてカチカチやっていた。しかし、それでは効率が悪く、作業に時間がかかる。作業量は減らない。そして残業が増え、上司から目をつけられる。
これではまずいと思うかどうかが分かれ道だ。意外とそのまま突き進むタイプのエンジニアもいる。しかし私は「あいつ仕事遅いな」というプレッシャーに耐えられなかった。そこでショートカットを使ったり、数式や正規表現を覚えたりしていかに素早く作業を終えるかを自分と競い始めた。
そうしているうちに身についたのが今のITリテラシーだ。
作業が速くなると、不思議なものでその他の知識を取り込むスピードも速くなり、その他のリテラシー(ネットワークやサーバー管理など)も高まった。
このようにITリテラシーが高まると相乗効果で全般的な習得速度が高まる。この点は今の仕事にも大いに生きている。